無料で&自分で出来る!QRコードを使ったチケットでイベント入場者管理を行う方法
イベント・式典等の受付時の混雑緩和、開催後の集計管理を簡単にしたいという目的で、入場者それぞれに個別のQRコードを付与したチケットや招待券をあらかじめ配ることで、簡単に入場管理・受付の自動化をすることが出来ます。
世の中に数多あるデジタルチケットをベースとした入場管理ツールは、お値段も高い分、非常に高機能。参加者へのメール配信や流入分析機能、オンライン決済機能など、そこまで必要ではないというケースもあるのではないでしょうか。
また、電子チケットの場合、高齢の方やお子さんなどが入場時に使えないため、紙面のチケットで入場管理を実現したいというニーズも根強くあります。
そこで、チケットの QR コードを読み取って受付および来場者の記録を自動化する、という目的だけに絞り、シンプルに簡単に実現する方法を考えてみました。
入場チケットにQRコードを使い、スマホで来場者のチケット読み込み、読み込んだ方の記録はエクセル名簿に自動入力する、というシステムを無料で自作してみましょう!
自分で作るのはちょっと... という方は、当社が提供するシンプルな入場管理サービスもご検討ください。
なお、本記事で使っている「QRコード」とは、全枚数が1パターンの同一QRコードではなく、1枚ずつそれぞれ異なるQRコードを印刷したものです。
ユニークなQRコード付きのチケットを作成するにはバリアブル印刷が必要になりますが、数量が少ない場合(数十部程度)は自分で作成することも出来ます。
バリアブル印刷についての詳細はこちらの記事を、
→ バリアブル印刷とは?事例・仕組み・費用・注意点を徹底解説
個別QRコード(ユニークQR コード)のその他の活用事例については、以下の記事もご参照ください。
→ ユニークQRコードの活用例。ビジネスに差がつく7つの事例を解説
目 次
このシステムの使用シーンと、できること
本記事で作るシステムは、以下のような利用シーンを想定しています。
- 100人程度の来場者を見込んだイベント
- あらかじめ入場チケットや招待券を発送しておく
- 上記発送リストをもとに当日の受付名簿とする
- 受付で QR コード入りチケットをスキャン(受付はスマホ1端末)し、来場確認を行う
- 来場者は自動でエクセルシートに記録
なるべくお金をかけず、それでいてだれでも使える、シンプルな仕組みを目指します。
ユニークQRコード入場受付・集計管理の全体フロー
無料自作システムは、以下の流れで準備・利用します。
- 招待リスト作成時に、参加者ひとりひとりに個別の ID を割り振る
- チケットに1で作ったIDを個別のQRコード画像に変換する
- 2で作ったユニークQRコードを個別チケットに印刷し、イベント参加者に配布
- 参加者はチケットを持参して入場時、受付QRコードリーダー(スマホ)より入場
- 受付でQRコードが読み取られたタイミングで、エクセル上で参加者にチェック
- イベント終了後、集計データを確認して完了
詳細な事前準備については、次の章で説明します。
ユニークQRコード入場受付・集計管理で準備するもの
下記の5点が必要になります。
- Microsoft Excel がインストールされたパソコン(Windows / Mac)
- 参加予定者エクセルリスト
- ユニークQRコード画像
- ユニークQRコードが印刷されたチケット
- QRコード読み取り可能なバーコードリーダーまたは、AndroidまたはiPhoneスマホ
1.参加予定者エクセルリスト/PC
Microsoft Excel がインストールされたパソコンを準備し、エクセルで名簿リストを作成します。
参加者の名簿リスト作成に当たり、氏名にはそれぞれ固有のIDを付与します。ここでは例としてA0001~A0030の30名としています。
エクセルで入力ミスが起きないよう、A0001-A0030 等先頭にアルファベットを入れるのがおすすめです。
参加予定者と出席のシートをわけて、出席者リストからエクセルのVLOOKUP関数を使ってIDを入力すると実際の出席者が表示されるようにします。
この例では、キャプチャ画面の右側(出席者リストシート)・氏名欄(B4~B32セル)の計算式=VLOOKUP(A4,参加予定名簿!$A$4:$B$33,2,FALSE)~=VLOOKUP(A32,参加予定名簿!$A$4:$B$33,2,FALSE)
これで出席リストシートのID(A行)にデータが入力されると、現状#N/Aになっている氏名が参加予定名簿シートから参照され、氏名が自動入力されます。
エクセルは必要に応じて指定行のみ編集可能にしておけば、間違い防止になります。
2.ユニークQRコード画像
上記で作成したIDを、ユニークQRコード画像に変換します。
無料の QR コード生成ツールでは大量生成に対応しているものはありませんが(当社調べ)、市販のラベル出力ソフト等では、入力したIDを自動でユニークQRコードに変換してくれる便利なタイプもあります。
なお当社高山印刷では、ユニークID などのデータをいただければ、大量 QR コードの生成も承っています。
3.ユニークQRコードが印刷されたチケット
あらかじめ配布するためのチケットを印刷します。QRコードが1枚1枚違うので「バリアブル印刷」と呼ばれる技術に対応した印刷会社への発注が必要です。
ただし、数十枚程度と部数が少ない場合は、専門業者に注文しなくても作成が可能です。作成したユニークQRコードの画像を使って、市販のラベル作成ソフトやWordの差し込み印刷で対応できるでしょう。
最近では、Google シートを使って無料で複数 QR コードの一括作成をすることも可能になっています。自力でやりたい!という方は、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。
→ Googleスプレッドシートで簡単QRコード一括作成術!
また、500名程度までであれば、既製品の不織布リストバンドに印刷するというアイディアもありますね。
印刷物にQRコードを挿入する場合、デザイン・配置前に留意しておくべきことや注意するべきことについては、下記の記事もご一読ください。
4.バーコードリーダー※・AndroidまたはiPhoneスマホ
バーコードリーダーがあれば、上記で作ったエクセル入りのパソコンにつなげるだけでほぼ使えます。バーコードリーダーによっては専用ドライバが必要な場合があります。
※バーコードリーダーはQRコード読取に対応している必要があります。
QRコードリーダーが無い場合はリーダーの代わりになるスマートフォン用アプリ「Barcode to PC」が使えます。
→ Barcode to PC 公式サイト(英語)
このアプリをお手持ちのスマホにインストールし、対応するサーバーソフトをPCにインストールして、両者を連携して使うことができます。
非商用利用・1端末・1ヶ月300スキャンまでは無料で使用可能です。
もちろん無料でも小さい規模なら対応可能ですが、このアプリはそこまで高くなく、しかも買い切りの有料プランがあります。
商用利用で何度も使う予定があれば、有料プランをおすすめします。
参考:Barcode to PCの料金プラン(2022年12月時点)
フリー(商用不可) | ベーシック | プロ | 無制限 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
価格 | 無料 | 価格 | 37$ | 価格 | 89$ | 価格 | 149$ |
端末数 | 1台 | 端末数 | 1台 | 端末数 | 3台 | 端末数 | 無制限 |
スキャン数 | 1月300 | スキャン数 | 1月1,000 | スキャン数 | 1月10,000 | スキャン数 | 無制限 |
価格:2023年3月25日現在
バーコードリーダーやスマホでユニークQRコードを読み取る
上記1~4の準備が出来たら、早速読み取りテストを始めます。
- バーコードリーダーを使用する場合
- バーコードリーダーがキーボードの代わりなので、リーダーの準備(PCとの接続、機種によってはドライバインストール等)が出来ればそのまま入力可能です。
- スマホを使う場合
- スマホのBarcode to PCアプリとPCサーバーソフトを実行します。
- スマホ端末とPCは同一WiFiネットワーク上にある必要があります。
- Barcode to PCサーバーソフトの設定で、バーコード+Enterになっているかを確認します。
上記設定で、スマホをQRコードにかざすとスキャンされ、エクセルにデータが入力され、次行セルでの入力待機状態になります。
※Barcode to PCのフリープランは、月間300スキャンに制限されるのでご注意ください。
バーコードリーダーを使う場合もスマホを使う場合も、エクセルのIDセル上で入力待機状態にして、印刷したQRコードを読み取ることで、IDが自動入力され、IDと氏名が予定者名簿からリストアップされます。
リストアップされた名簿がそのままイベント当日出席者名簿になります。
イベント終了後にリストをソートして重複を削除すれば、そのまま出席者リストとして利用可能です。
手書きのリストを照らし合わせて入力していく作業も不要です。
応用として、IDのアルファベットを座席やアテンド担当者によってフラグ化することで、案内がスムーズになったりと、より便利に使えます。
まとめ
こちらの記事内容で進めると、
- 受付業務省力化・・・名簿記載がすぐに出来る
- 受付の混雑回避・・・お客様を待たせない
- イベント後の集計簡素化・・・受付業務終了時に集計が終了しているので、お礼を出したりDMを出したりする、次のステップに簡単に行ける
このように今まで多くの時間を割いていた部分を省力化出来ます。
世の中、紙に頼らずにデジタルのみで解決できる方法はたくさんあります。
紙のメリットである、老若男女だれでも公平に使える、ネット環境に依存されないということで、安心して活用出来ます。
また、今回紹介した仕組みは、一番シンプルな方法で、コストもそこまでかからないと思います。
ポイントはどこまで管理をしたいのか、それはなぜ必要かなどを検討して、数ある管理方法から一番マッチした方法を導入することではないでしょうか?
導入するにあたっては、まずはシンプルな方法で検討して、より複雑な管理が必要な場合は専門業者に相談することをおすすめします。
また、高山印刷では有料での入場管理システムと印刷物をワンストップで提供しています(「QRコード入場管理パック」)。
- 入場のみでなく退場も記録したい。
- 読み取り時に音を入れたりタイムスタンプを表示したりしたい。
- 難しそうなので印刷からシステムまで丸々まかせたい。
等々の懸念がある方は、ぜひ当社にご相談下さい。
投稿者
- 1999年入社時は当時貴重なMacに触れたくてDTPを担当、その後本社地区の営業担当を経て、2005年からは東京営業所長。
バリアブル印刷には初代オンデマンド印刷機導入時より、20年近く携わっており、専門分野としてあれこれ知識を貯めました。
お客様からの課題解決のため、社内で知恵を絞って対応しています。
プライベートでは1人息子と父子キャンプを楽しんでいます。
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