業務効率化!ExcelでQRコードを一括作成する方法(Win/Mac対応)

QRコードを生成する無料の WEB サービスはいくつかあります。ご自身で QR コード入りの印刷物などを制作する際に、使ったことがある方も多いのではないかと思います。

しかしながら、複数のデータから複数の QR コードをまとめて作るとなると、なかなか対応できるものはありません。

一般的に、複数のデータからそれぞれ異なる QR コードを作る際は、ものすごく手間がかかります。

印刷会社に発注する印刷物の場合は、バリアブル印刷・可変印刷といった技術を用いて対応します。バリアブル印刷については、以下の記事も併せてお読みください。

→ バリアブル印刷とは?事例・仕組み・費用・注意点を徹底解説

本記事で紹介する方法を使うと、Excel セルに入力された複数のデータをまとめてQRコード化の処理が可能です。

また、職場環境で Google アカウントが利用できない元データがスプレッドシートではなく Excel で管理されており外部に持ち出せない、などの状況下においては、とくに有効な手段といえます。

Excel ではなく、Google スプレッドシートで QR コードを一括作成したい方は、こちらもご覧ください。

Googleスプレッドシートで簡単QRコード一括作成術!

Excel で QR コードを作る2つの方法

異なる方法ですが、いずれもこの記事のガイドにしたがって設定するだけで簡単に大量 QR コードの生成が可能です。

以下に、それぞれの方式の特徴を整理しました。

方法特徴
1QuickChart Excel テンプレートを使うMac / Windows ともに利用可能。テンプレートを使うことで、セルに値を入力するだけで一瞬で QRコードを生成できる。生成数の制限あり。
2Microsoft BarCode Control を使う(非推奨)元々 Access 向けに作られた機能であるため、Excel での利用はマイクロソフト公式により推奨されていない。また、一括作成には対応しておらず、複数の値から連続で QR コードを出力する場合には手作業もしくはプログラミングが必要となる。Mac 利用不可。

詳細は以下で解説します。

1. QuickChart Excel テンプレートを使う

Mac / Windows ともに Excel で利用でき、最速かつ最も手軽な方法がこちら。すでに用意されている Excel テンプレートを使う簡単な方法です。

利用ツール

  • マクロが利用できる Microsoft Excel (Windows 版 / Mac 版ともに OK)
  • QuickChart (無料版、アカウント登録不要)

QuickChartは、チャートやグラフを簡単に生成できるオープンソースのサービスです。個人利用の範囲であれば、処理リクエスト数の制限はあるものの、無料で利用することができます。

通常、URLパラメータやJSONデータを使って、プログラム的に様々な種類のチャート画像を動的に呼び出して使います。

URLパラメータや JSON というものに不慣れな方にとっては、少し面倒ですよね...。でも、安心してください!

QuickChart は、Excel シート上に挿入した複数のセルから、一括で QR コードを生成するための Excel シートの雛形をすでに作ってくれています。

QuickChart の公開する Excel テンプレート (← クリックで .xlsm ファイルのダウンロードが開始します)

QRコード生成のステップ

使い方は、説明するまでもなく超簡単。まずダウンロードした上記のファイルを開きます。

マクロ機能を使うので、警告が出る場合、「マクロを有効にする」「許可する」を選択するようにしてください。

そして、テンプレートのA列(QR Code Contents)に、QRコード化したい URL などのデータを入れていくと、自動的に C列に QR コードが表示されます。

動画でもどうぞ!

リスクと懸念事項

無料版では、処理リクエスト数の制限があるということ。

どの程度の処理まで許容されているか、明確なデータは公開されていませんが、「500個のQRコードを一度に生成しようとすると制限がかかった」という、あるユーザーからの投稿がありました。

目安として、数百件を超える QR コードの件数では利用するのが難しいと考えておくと良いでしょう

2. (非推奨)Microsoft BarCode Control を使う

この方法は、他記事でもよく紹介されており、日本ではよく使われてきていた方法です。ただし、前述の方法を比較してもメリットが少なく、あまり推奨するポイントはありません。

注意事項として、この機能が元々 Access 向けに開発されたものであり Excelでは正常な動作を保証されるわけではないと Microsoft 公式よりアナウンスされています。

また、Excel for Mac では利用できないため、Macをお使いの方も他の方法をお選びください。

利用ツール

  • Microsoft Excel 2016以降(日本語版、Windows 用のみ)
  • Microsoft BarCode Control 16.0(QRコードなどを描画するための ActiveX コントロール)

QRコード生成のステップ

BarCode Control を使ってExcelでQRコードを一括で作成する手順を以下にて解説していきます。

最初に、Excelで「開発タブ」を表示する必要があります。このタブでは、マクロやアドインの管理、VBAの編集などの高度な機能を利用できます。

Excelを開き、上部のリボンから「ファイル」をクリック。左側のメニューから「オプション」を選択します。

「Excelのオプション」ウィンドウが表示されたら、「リボンのユーザー設定」をクリックします。

「リボンのユーザー設定」セクションで、右側のリストから「開発」を見つけ、チェックボックスをオンに。

その後「OK」をクリックしてウィンドウを閉じます。これで、リボンに「開発」タブが表示されるはずです。

次に、QRコードを生成するための ActiveX コントロール「Microsoft BarCode Control」をExcelに追加します。

ActiveX コントールとは、Microsoft社が開発したソフトウェアの部品化技術で、主にWebブラウザ上で動的なコンテンツを実行するために使用されます。

このコントロールを使用して、セルのデータをQRコードに変換します。

先ほど表示した「開発」タブをクリックし、「挿入」セクションを見つけます。

「挿入」をクリックすると、フォームコントロールとActiveXコントロールのリストが表示されます。

「コントロール選択」のウィンドウが表示されるので、リストから「Microsoft BarCode Control 16.0」を選択します。

「OK」をクリックすると、Excelシート上にサンプルバーコードが配置されます。

これを QRコードに変換していきます。

バーコードを右クリックして表示されたメニューの「Microsoft BarCode Control 16.0」-「プロパティ」を選択。

プロパティの「LinkedCell」に、参照するセルを入力すると、セルに入った値を参照したバーコードに変換されます。「LinkedCell」で参照したセルの値を変えれば、Valueの値も自動で変わります。

最後に、バーコードを QR コードに変換していきます。

「Microsoft BarCode Control 16.0」の「スタイル」を選択。スタイルから、「QRコード」を選びます。

QRコードに変換されたことが確認できるでしょう。

リスクと懸念事項

この方法の問題点として、BarCode Contorl では 複数のセルを参照して一括でコードを作成する、ということができません

LinkedCell に手動でセルの位置を指定して画像を保存、そしてまたセルの指定を書き換え... ということをくり返す必要があります。

これを自動化するには、VBA などでのプログラミングが必要になります。

QRコード画像の一括ダウンロード方法

上記の方法で Excel シート上に生成された複数の QR 画像オブジェクト。数が少なければ1つ1つダウンロードしていっても良いですが、もう少し効率的な方法があります。

作業していた Excel シートを「別名で保存」し、ファイル形式を「Web ページ(.htm)で選択、保存します。

すると、指定したダウンロード先フォルダに、以下のファイル・フォルダが生成されています。

  • <ファイル名>.htm
  • <ファイル名>.fld

フォルダを開くと、以下のようにシートに入っていた QR コードが .png 形式で格納されています。

注意しなくてはいけないのが、画像とデータのマッピング。

画像ファイル名には、シート上の何らかの値が反映されるわけではなく、ただ連番が振られているだけです。

筆者が確認した限りでは上から順に番号が振られているようですが、確証があるわけではありません。

実際に配布や印刷などに利用する際には、必ず内容とコードがあっているかの確認を手動を忘れないようにしてください。

最終アウトプットへの QR コード挿入

これまでのプロセスで生成したたくさんの QR コードを、メールや WEB サイト、SNS、印刷物などに挿入していきます。

ここは原則、手作業でやっていくことになります。出すべき情報と宛先、そして QR コードの内容の取り違えがないよう、十分に注意して作業を行なってください。

また、QR コードを印刷物に展開する際は、そのサイズや余白、周辺のデザインなど、特に注意をしていただくポイントが多くあります。

以下の記事もお読みになった上で、万全の対応を行なっていきましょう!

→ サイズ・余白は大丈夫?印刷会社が教える、失敗しないQRコード印刷のポイント

まとめ・こんなときは、プロのバリアブル印刷屋へご相談を

大量 QR コードの生成は、これまで一般的には特殊なツールを使ったり、業者に依頼することが必要な作業でした。

実は、おなじみ Excel と無料のサービスを組み合わせるだけで、このように簡単に QR コードの一括生成ができることがお分かりいただけたかと思います。

ただ、以下のようなケースでは、自力での一括生成は難しいと考えています。

  • データが数百件を超え、内容とコードの突き合わせや、仕上げの部分の手作業でのハンドリングが困難
  • QRコードだけでなく、印刷物全体のデザインにもこだわりたい
  • 絶対に読み取りが失敗できない、重要な業務で使われる QR コードの生成・印刷

古くからバリアブル印刷に取り組んできた高山印刷では、数百万件を超えるような超大量データの一括 QR コード化・印刷も手掛けています。

決済などに変わる超重要な業務で使われる QR コードをお手伝いさせていただいており、読み取り不備がないよう、万全の対策をとっております。

投稿者

東京営業所長 あいだ
東京営業所長 あいだ
1999年入社時は当時貴重なMacに触れたくてDTPを担当、その後本社地区の営業担当を経て、2005年からは東京営業所長。
バリアブル印刷には初代オンデマンド印刷機導入時より、20年近く携わっており、専門分野としてあれこれ知識を貯めました。
お客様からの課題解決のため、社内で知恵を絞って対応しています。

プライベートでは1人息子と父子キャンプを楽しんでいます。

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